エッセイ童話

メープルの悪知恵くん

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僕の名前はメープル。

ママの話では僕のお姉さんは、

ボーダーコリーのミックスちゃんということです。

そのお姉さんは、今はちょっと先に、天国に行っています。

少しだけお姉さんのお話をすると、

とても美人で自分でも少し意識しているのか、

僕にそっけないところがあったと思うんだよね。

ただ僕もかなりしつこいからね。

だってお姉さんは美人だから仕方がないよ。

そんなお姉さんも僕とたまに遊んでくれることも、

追いかけっこすることも。

でも僕は運動神経抜群の男の子だから、

お姉さんには簡単につかまりません。

お姉さんはどうにか捕まえて、

上下関係をはっきりさせようと頑張るんだけど。

さっきも言ったけど、

運動神経抜群のプーちゃん。

だから、残念です。

ねえクッキーお姉さん、僕はこのことも知っているよ。

追いかけっこしてる時も、捕まえるときも、

僕が小さいから優しくそっと捕まえるよね。

僕はその時に、するっと逃げるというわけ。

クッキーのお腹で寝かせてくれる時もたまにあったね。

ぼくはそんな時、うれしくてたくさん楽しい夢を見るんだ。

お母さんのおっぱいをたくさん飲んで、

お母さんのお腹でぐっすり寝てしまうという夢。

そんな時本当に幸せ。

大好きなんだ、クッキーのフワフワ。

また一緒に寝たいな。

天国に行ったクッキーお姉さん、今でも一緒だよね。

ママが寝るときに(お骨を)下から上へ階段を大事に抱えていくけれど、

中でカチャカチャしていないか、

音はしないけど僕は心配しているんだ。

何年も下から上へ、上から下へとなると

終いには・・・。

ああ言ってはいけないことを。

つまり家族みんないつまでもいつまでも、忘れていないということだね。

しあわせだね。

(小さなお部屋に入って)

時にはお花見にも行ったね。

軽井沢にも。

今はもう車のブルちゃんもいないけれど。

お姉さんの話はたくさんあるけど、今はこのくらいで。 

僕の話に戻すよ。

僕は最近ちょっと悩んでいることがある。

恥ずかしながらマナーおむつをしている。

それはちょっとしたいたずらから始まった。

あちらでシャー、こちらでシャー

でも誰も気が付かない。

ある日誰かが、

「なにこれ色が変わってる。えー?」

ティッシュで拭くと、さあ発見された。

「メープル、メープル」

さあ、お呼びだ。

ママがまず、

「お座り。なにこれ」から始まって、さあお小言。

ぼくは思いっきりかわいい顔をして、

じっとママの顔を見た。

すると、

「もうしてはだめだよ」

頭をなでてくれた。

僕は怖かったけど助かった。

こちらは物語の中の、

「もうしてはだめだよ」

頭をなでてくれた。” 

の様子。「分かったひと!」と聞いてみるとおててを出してくれています。

ママごめんね。

みんな知らないけど、僕、まだまだいっぱいしています。

分かった時には大変なことになる。

僕のかわいいビームもダメかも。

いつ気が付くか、怖いよ。

そして、とうとう発見の時が来ました。

「メープル!メープル!」

と、いつもよりどこか怖い。

「おすわり」

ママの顔をじっと見て、

ビーム!ビーム!

ごめんなさい。

ママが、

「これでは家が壊れてしまう」と。

怖いよ。

僕はなんだか悲しくなって涙が出てきて・・・

「ママほんとにごめんね」

すると、

「あ、涙。分かったね」

と、優しく言ってくれた。

そうなんです。

僕は叱られると涙が出てきちゃうんです。

これって特技かな。

そんなことが何回か繰り返し、

マナーおむつとなりました。

最初は僕のちょっとしたいたずらからはじまり、

いたずらは治らず、

今度はマナーおむつをしたまま、

あちらこちらへ”する”日々です。

さすがに自分の体が濡れるので、

においもあるし、

気持ちが悪いので、

どうにかしたいと思い、

僕は僕なりにいろいろと考えてみた。

おむつをしている時、

濡らさずにいよう。

そして、リビングに入った時(僕のトイレがある)、

その時こそトイレタイムとしよう。

あたりまえのことだね。

だってもともとそうしていたのだから。

今こそ初心に戻ろう。

ということで、きちんとトイレでしました。

するとみんなは手をたたいて喜んでくれ、

「お利口だね、おりこうさん」

と言って喜んでくれました。

最初はご褒美までくれました。

もうそうなると、おむつなんてしたくない。

どうしてぼくはおむつなんかしているんだ。

家中どこでもスッキリ歩きたい。

また悪知恵くんが、ぴょこ。

自分で外せばいいんだよ。

どうやって外せば。

手は使えないし。

ぴょこぴょこ。

何かにすりすりして取ろう。

ママの部屋のこたつ。

僕の部屋の敷物。

いっぱいある。

そして成功。

成功ですね。

すると僕は家じゅうを、

最初はソロソロ

そして・・・

もう平気。

スタスタ

と、思ったとたん・・・

「あれ?メープルベルト(おむつしてない)」

もう見つかった。

「どうしたんだろう。だれがはずしたの?」

ガサガサ・・・

「外さないわよ」

すると僕の苦労のあとのベルトが、

こたつの横にぺったり。

そして僕の部屋の中にも。

何日か続いた。

するとお呼びです。

「メープル」

「ベルトすぐとれちゃうね、リボンしてあげる。かわいいよ」

もう外れませんということで、

僕の負け。

僕たちプーちゃん族は、

みんな頭がいいと言ってくれる。

もちろん僕もそうだと思う。

ただ、

使ってはいけない方向に、どうしても使ってしまうんだよね。

まあ何が悪かったのか、

寝る前に考えてみよう。

昨日は暖かい部屋ですぐに寝付きました。

ということで、

反省する間もなく寝てしまいました。

いたずらしにくくなり、

変化のない日々が続いた。

それではいけない。

そんな退屈な日々は僕には似合わないと。

悪知恵くんが言うんだ。

ぴょこぴょこ ぴょこぴょこ

小がだめなら大が有るよ 

なんてね。

僕はみんなの部屋には、

ベルトもリボンもしているので、

堂々と出入り自由。

今度はそこで、

僕のおしるしを残したというわけです。

みんなは、

「えー!なんで!」

と言いながら、

「お座り」

お小言が少し続いた。

しかしある時から、

みんな口を閉ざしたね。

「どうして!なんか言ってよ!」

みんなジェスチャーで話しているみたい。

「声を出してよ!やりがいがない!」

無言で消毒液とビニール袋。

僕の残したところに向かうんだ。

全くやりがいがないよね。

僕は片づけにくる人の顔をジーっと見る。

何か言うことは・・・?

無視だ。

その後は、皆のお部屋には

ゲートが出来、

自由に出入り禁止となった。

僕の悪知恵くんと、

かわいいビーム。

今も健在で磨きをかけている。

今度は何をしたらみんな驚くか、

とても楽しみ。

だって、

いつまでも僕のこと、

考えていてほしいんだ。

大好きだから。

つづく・・・

※こちらのお話は「メープルのプレゼント」というお話へとつながっています。

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