僕のお部屋から見るお庭は、最高にきれい。
ぼんやりながめていると、チリンチリンとひつじ君が自転車でぼくの目の前に。
メープル:「なあに」
ひつじくん:「べつに・・・ママがメープルがぼんやりしてるから、
ちょっと遊んで来たらと、僕を走らせたんだよ。遊ぼうよ、ねえ」
「メ:何して」
「ひ:サイクリングでもどう?」
「メ:自転車に僕乗れないよ!」
「ひ:僕のうしろに乗って。運転上手だよ。毎日乗っているから」
「メ:そうだね」
ふたりは自転車を走らせ、春の匂いと風をいっぱい感じています。
「ひ:きもちいいな」
「メ:お花がたくさん咲いていて、きれいだね。
大きく息をすると・・・ああ待って、ちょっとくさい」
「ひ:菜の花の匂い」
「メ:そうだね。かわいいお花なのに、匂いが。
ひつじ君知ってた?白い菜の花は、大根の花だって」
「ひ:そうなの?」
「メ:ねえひつじ君、この自転車何か少し浮いている気がする」
「ひ:そうだよ。この自転車は特別なんだ。水の上も平気。
雲までは無理だけど、空も大丈夫なんだ」
「メ:すごいね。そしたら僕、行ってみたいところがあるんだ」
「ひ:いいよ。もう少し案内してからね!」
「メ:うん」
「ひ:メープル、あの草の茂みから猫ちゃんが出てくるよ」
「メ:ああ、本当だ。小さい子もいる。3びきも。お母さんが後ろから来た、いいな」
「ひ:そうだね。でもお家はあるのかいつも心配なんだ」
「メ:うん」
「ひ:メープル、あそこの木のところに草があるでしょう。
あそこから大きなヘビが出てきたんだ。ギョッとしたね」
「メ:ひつじ君、目がもっと大きくなったの?
そういえば、ひつじ君ってそんなに目が大きかったかな?歩いているひつじさんだけど・・・」
「ひ:ぼくはいつも自転車に乗っているし、注意深く周りを見るから、大きな目になったのかも」
「ひ:ところで、大きなヘビを見ると、お金がたくさん入るらしいよ」
「メ:お金持ちになったの?」
「ひ:それはこれからのお楽しみ」
ふたりは、疲れたのでひとやすみ。
「メ:ひつじ君、ぼくのとなりに座って」
「ひ:そうしたいんだけど、おしりが、サドルにくっついて」
「メ:離れないの?」
「ひ:そう」
「メ:不便だね。じゃあ歩いたことは?」
「ひ:ない」
「メ:そうか。じゃあどうにかしなくては」
「ひ:どうにもならないよ。僕は生まれた時からだから」
「メ:自転車はなくさないね、絶対に」
「ひ:そうだけど。不便だよ」
「メ:そうだね」
お水を飲んでひとやすみ。
「ひ:そういえば行きたいところってどこ」
「メ:一つ目は、水辺だよ。
いつもカモさんが水辺をスイースイー、気持ちよさそうだなと土手の上から眺めていたけど、
一緒にスイースイーしてみたい。
あと、カモさんたちみんな体の中に頭を丸めて居眠りしているけど、
ちょっとビックリさせてみたいな」
「メ:二つ目は、大きな木の上で、
たくさんの鳥さんたちが、いつも何しているのかと思っていたから、
聞いてみたい」
「ひ:どちらもだいじょうぶ。じゃ今日はメープルの夢をかなえよう」
「メ:うん!うれしいな」
「ひ:いくよ!」
まず、一つ目。水辺へ。
「カモさん:自転車が水に浮かんでる!」
「メ:いつも上から見てたんだよ。
気持ちよさそうにポコっと水の上に浮かんで、スーッとすべるように泳ぐ感じ」
「カ:じゃあいっしょに競争しようよ」
「メ:競争じゃなくて、のんびり滑るように、スイースイーとしてみたい」
「カ:わかった。スイースイーと行こう」
「メ:ああ、気持ちいいね」
「カ:あ、しずかに。お昼寝している。今日は暖かくてきもちがいいから・・・」
「メ: あ、僕の出番…」
「カ:シー!しずかに」
「メ:びっくりさせたかったんだけどな…、なんでもないよ」
「カ:なあに」
「メ:いや、気持ちよさそう。しずかに行こう」
「カ:ねえ、気になっていたんだけど、自転車をこいでいるあなた、見たことないけど」
「ひ: 私はメエメエひつじです。
カモさんとは暮らしているところが違うから、会ったことないね。
でもカモさん、飛べるんでしょう?」
「カ:失礼な。飛べます、遠くまで」
「ひ:そしたら下から大空を見上げた時、カモさん達を見たことがあるね、きっと」
「カ:そうかも。メープル君、ひつじ君、そろそろお昼寝の時間だから。
また遊びに来て」
「またねー」
さあ、今度は二つ目。
「ひ:メープル、しっかりと僕につかまって!上へあがるよ!」
「メ:わかった。フワァ~~、すごいすごい!飛んだ!
すごいなこんなことできるんだ!」
「ひ:ことりさん、こんにちは」
「ことり:ああびっくりした!何でここまで来れたの自転車」
「ひ:僕は特別な力を持っているから」
「こ:そんなことできるんだ」
「メ:木の上でみんなで何してるの」
「こ:まあいろいろ。どこの花が美味しいか、
この間カラスさんに追いかけられたとか、私達は小さいから団結が必要だから。
話し合っているというわけ」
「メ: ねえこんな高いところで寝るの」
「こ:そうよ」
「メ:落ちない?」
「こ:ほとんどは大丈夫。私は鳥だから。
たまに落ちてしまう鳥さんもいるけど。手のゆるみ、心のゆるみでね」
「メ:手のゆるみ、そうなんだ。のんびり寝られなさそう」
「こ:でもとにかく楽しいよ。みんなでワイワイ言いながらおしゃべり、
下からはうるさいなあと言われることもあるけれど、
そんな時“プイ、ポトン”落としたりね」
「メ:何を」
「こ:あれあれ」
「メ:ああー食べたら出るよね」
「こ:そういうこと。うるさいと言われなくてもプイ、ポトンするね」
「メ:そうだね」
「こ:頭にポトンと来たら、うんがいいと思わなくちゃ」
「メ:ぼくはいらないよ」
「ひ:メープル、遅くなるからそろそろ帰ろう」
「メ:うん」
「こ:それじゃあまたね」
「メ:楽しかったなあ。ひつじ君ありがとう。また連れて行ってね!」
「ひ:いいよ」
「マミ:おはよう!」
おわり
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